• ごあいさつ
  • What's New
  • 私の好きな絵
  • 私の好きな美術館
  • 全国の美術館への旅

「キャンバスの前の自画像」

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ (1887-88年)

ジャンプ

ここをクリックすると、作品のある
「WebMuseum, Paris」のページにリンクします。

 パリを発ってアルルへ行く直前の自画像です。イーゼルの前に立って、とりどりに丹念に重ねられた色の中で、堂々と、ちょっと恐い顔でポーズしています。

 ゴッホの自画像の中でも相当華やかな印象のあるこの作品は、アルルという新しい土地へ出発する前の、高揚した、期待と希望の中で描かれたものではないでしょうか。その時のゴッホの気持ちがそのまま出ているようで、「私は他の誰でもない、画家のゴッホなんだ」という自信にあふれているように感じられます。

 ゴッホは古今最大の自画像の画家です。あのレンブラントもセザンヌも、その数では遠くゴッホに及びません。
 彼は1886年3月から88年2月までのパリ滞在中、30点近くの自画像を描いています。自画像の多い画家は概して内省的なタイプが多く、反対に外面的な現象に関心を持つ印象派の画家などには、当然のように自画像が多くありません。
 ゴッホの自画像が、特にパリ滞在時代に集中して多く描かれている理由としては、適当なモデルが見つからなかった・・・ということが大きいかも知れません。また、弟テオと同居していたために、あまり手紙を書く必要がなく、手紙に代わる自己表現の手段が必要だったこともあったのだと言われています。
 それほど自分と絶えず向き合いながら生きる必要があったゴッホを、やはり「変人だ」と感じる人も多いでしょう。でも、それだけ生真面目で、自分に厳しい性格だったとも言えます。

 晩年の狂気が単に病気の為だけでなく、彼のそうした性格的なものや、その他もろもろの要素が加わったものであることに、私たちは配慮しなければならないと思います。
 そして、作品の中のゴッホは、画家としての威厳に満ちているのです。

★★★★★★★
アムステルダム、 ファン・ゴッホ国立美術館蔵



page top