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「ジャンヌ・サマリーの立像」

オーギュスト・ルノワール (1878年)

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 彼女にはじめて対面した人は、その生き生きとした優しく暖かい雰囲気に、誰しも魅了されてしまうに違いありません。
 173 × 102cm という、意外にも大きな画面から、彼女は非常に感じよく、明るく快活に、上半身をこちらに少し傾けて、まっすぐに微笑みかけてくれています。そして、今にも、その開きかけた口元から、「ようこそ」と鈴を転がすような声がこぼれて、私たちは夢の世界へ招き入れられてしまいそうなのです。
 ピンクがかった白の華やかなドレスを、慣れた感じで着こなした彼女は、当時の人気新進女優ジャンヌ・サマリーです。彼女はごくごくルノワール好みの素材だったと思われます。女優さんですから、もちろんとても美しく、ふわーっとしたオーラに包まれた華やかさ、そして心地よい優しい雰囲気を備えていて、大人の女性でありながら、可愛らしい….。

 1879年の官展に『シャルパンティエ夫人と子供たち』と共に出品されて好評を得たこの作品は、その後、ルノワールが肖像画の注文を多く受けるきっかけともなったと思われます。
 ルノワールがジャンヌ・サマリーと出会ったのは、マルグリット・シャルパンティエ夫人のサロンにおいてのことでした。シャルパンティエ夫人の夫はフロベール、ドーデ、ゾラなどの小説を出版していた出版業者で、彼女は、その夫の抱える作家たちが集まる文芸的雰囲気の、上品なサロンを催していました。
 そのサロンは、しかし堅苦しいものではなく、当時人気のあった女優、歌手、政治家、画家なども大勢招かれていたといいます。そんな中でルノワールはジャンヌと知り合ったわけですが、ルノワールのほかにも、マネ、モネ、シスレーなども顔を出していたといいますから、シャルパンティエ夫人はまさしく印象派の画家たちにとって、非常に大切な存在だったと言えます。

 おそらく、たくさんの人に愛され、またジャンヌ自身も、その多くの好意に十分に報いようと一生懸命だったに違いない、本当に人の気を逸らさないまっすぐな瞳…。その、彼女がおそらく一生のうちでも一番魅力的であったろうひとときの輝きを、ルノワールの筆はしっかりとキャンバスのなかにとどめているのです。

★★★★★★★
エルミタージュ美術館蔵



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