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「サン・タドレスのテラス」

クロード・モネ (1867年)

ジャンプ

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 鮮やかに赤い花や豊かな緑の葉の、少しふるえたような繊細なタッチは、確かにモネのものだな・・・と思うのですが、全体的に、絵葉書を思わせるような整い過ぎた構図のこの絵は、モネが28歳のときの、まだ画家としての評判も収入も乏しかった頃のものです。

 この時期、モネはすでに妻カミーユと息子ジャンと共に暮らしていましたが、父からの仕送りで生計を立てている状態でした。それだからこの絵を描いた・・・というわけではないのでしょうが、藤椅子に座っている人物は、父親のアドルフ・モネであると言われています。その隣りの日傘をさした婦人は母親かも知れないのですが、実際は、その10年前に亡くなっていますから、モネの心の風景なのかも知れません。
 彼は、1858年の夏に、すでに風景画こそ自分の天職であると悟っていたわけですが、この作品は、印象派モネの原点と言えるような気がします。

 やわらかな風の中で、老若二組のカップルがくつろいでいます。遠くに海と空と船。テラスには花があふれて、幸福で穏やかな時間がゆっくりと過ぎてゆくのがわかります。そして、何よりも明るく澄明な光がいっぱいでまぶしいくらいです。
 こんな陽だまりの中で、モネ自身も目を細めながら絵筆を動かしたのかも知れない・・・と思わせてくれる作品です。

★★★★★★★
ニューヨーク、 メトロポリタン美術館蔵



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