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「小鳥の聖家族」

バルトロメー・ムリリョ (1650年)

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 管理人は、この作品の聖ヨセフを見るたびに溜め息をついてしまいます。聖ヨセフと幼な児イエスが画面前面に出て、聖母マリアは後方から見守っているという、ごく珍しい絵なのですが、いくら聖母子といえども実際的には地上での保護者が必要だったのだ、と感じさせてくれる作品です。

 それにしても、この聖ヨセフの包容力ある暖かい雰囲気は素敵です。他の画家の描くヨセフって、なんだかおじいちゃんが圧倒的に多いのですが・・・考えてみればイエスの父親だし、マリアの夫なのですから、これくらい若くて当然なんですよね。ホントにカッコイイ、ステキなお父さん・・・。この人だからこそ、マリアもきっと安心して運命の子イエスを産み、いっしょに育てていこう・・・という気になったのだと思います。
 今マリアは糸を紡ぎながら、ひとときの幸せを実感し、生命の聖性について、心穏やかに思いを深めているのかも知れません。

 ところで、幼な児イエスが楽しそうにつかんでいる小鳥は、空を飛ぶ精霊の象徴、そして糸つむぎは聖母の象徴です。手仕事をしながら深く思考する・・・ということは、女性だったらけっこう経験した人が多いのではないでしょうか。そういう意味で、マリアの思慮深さを表すのに、この糸つむぎ車をもってきたのは、とても上手な方法だという気がします。

 ムリリョは、17世紀フランドル絵画と16世紀ヴェネツィア派の影響を受け、やわらかい筆触と美しい色彩が特徴の宗教画を数多く手がけ、また庶民階級の少年少女を描くことも多かった画家です。グレコ、ヴェラスケス、ゴヤのあまりにも強い輝きに圧倒されて目立ちませんでしたが、ムリリョの描く聖母の控え目な愛らしさは、間違いなくスペイン絵画におけるひとつの華だと思います。 

★★★★★★★
マドリード プラド美術館蔵



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