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「オリバーレス伯爵騎馬像」

ディエゴ・ベラスケス (1634-38年)

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 軍服姿のオリバーレス公が馬上から、おそらくフエンテラビーアと思われる戦場へ向かおうとしている光景です。
 うーん、これはまさしく典型的なバロック空間! 輝かしく、みごとな軍服に身を包み、17世紀オランダの風景画を思わせる壮大な空間を背にして自信たっぷりの表情で指揮をとるオリバーレス公。そして、前脚を上げた丈夫そうな馬のみごとなお尻の筋肉と踏んばった二本の後ろ脚、なびくたてがみ・・・。この躍動感と豪華さは、やはり見る者には圧倒的なインパクトです。

 オリバーレス公という人は、フェリーペ四世とは対照的に、尊大で権勢欲の強いそうとうイヤなヒトだったみたいで、1643年に失脚しています。しかし、それだけ国王とは逆に生き方が積極的だったとも言えるわけで、絵にしやすい素材だったかも知れません。そんなオリバーレスの性格も、画面上ではかえって相当な存在感となり、鑑賞者には非常に魅力的なモデルとうつります。
 そして、輝かしい技法はあくまでも流麗で、あらためてベラスケスの技量の確かさを認識させられます。

 画家は、宮廷内のアトリエで、午前中もなるべく時間をとって制作を続けたと思われますが、ここで気になるのはマドリード特有の光と空気です。特に朝の空気は独特で、物体の輪郭線を失わせるものと言われていましたが、この朝の光の中で感得した光と空気の遠近法が、彼を「光と色彩の画家」へと育てたのです。この作品の中の遠くの風景にもそれは生かされて、馬の前脚の向こうはどこか印象派をさえ思わせます。
 ベラスケスは、王室内のアトリエで入念に時間をかけて描き上げていくタイプの画家でした。自分のそんな特性をよく心得ていた彼は、至高の作品への階段をなんの憂いもなく昇り続けられる道を自ら選びとったのです。そして迷いなく確かに昇り続ける力を十分に持ち続けた人だったのです。 

★★★★★★★
マドリード プラド美術館蔵



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