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「アヌシー湖」

ポール・セザンヌ(1896年)

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 セザンヌらしい、清らかでやさしい色彩の風景画です。ブルーとグリーンと少しのブラウンとイエローと・・・すべてが美しく、夢の世界のようです。

 風景画家と呼ばれる人はたくさんいるわけですが、こんなに透明感のある作品を描ける画家は、やはり なかなかいないような気がします。多分に神経症的傾向の強い人生を送ったセザンヌだからこそ、人と交わる必要のない静物画や風景画の世界に自分の境地を見出していったのかも知れません。セザンヌ独特の、正方形に近い色斑を丹念に並べる筆使いが、作品をより穏やかに、夢のように仕上げているのだと思います。

 この「アヌシー湖」は、セザンヌが晩年、スイス国境に近いこの山の湖を訪れて、気晴らしのために描いたのだそうです。その折、彼は山々の風景を見て閉所恐怖症的な感じを持ったと言いますが、そんな、ある種、病的な感覚があるからこそ、このように情趣深い作品を描けるのかもしれません。
 そして、非常に印象深いのが、手前に広がる湖の処理です。画面のちょうど半分を占めて、シン・・・と静かで、作品によりいっそうの透明感を与えてくれているのです。

★★★★★★★
ロンドン、 コートールド美術館蔵



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