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「生命のダンス」

エドヴァルト・ムンク (1899-1900年)

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 この不思議な絵は、結局完成しなかった「生命のフリーズ」という連作中の代表的な作品です。
 「生命のフリーズ」の全体をつなぐテーマは、ムンクの個人的な体験というゆがんだ鏡を通して見た“生と愛と死の詩”と言えます。
 「フリーズは、全体として1つの生命の絵を表現する一連の作品群を通して、曲がりくねった海岸線が走っている。その向こうには決して動きを止めることのない海があり、木々の下にはあらゆる豊かさ、多様性、歓び、苦しみをもった人生が見られるのだ」
とムンクは書いています。

 この作品でまず目につくのは、白と赤と黒のドレスを身に着けた三人の女性です。
 中央の赤いドレスの女性は情熱的なイメージを表し、強烈な性的誘惑のシンボルであると言われています。また、左側の白いドレスの少女はムンクのガールフレンドであるトゥーラ・ラーセンをモデルにしていると思われ、無垢を表現しているのだそうです。中央でダンスしている二人を見ているうちにダンスの仲間入りをしたいと思い、少しずつ歩み寄っているのかも知れません。
 そして、右側の黒いドレスの女性は、まさしく死を暗示しています。それは、もしかすると女性としての死かも知れません。もうダンスの輪に入る望みはなく、永遠の傍観者になってしまった絶望を身にまとってたたずんでいます。
 この作品は、「生命のフリーズ」の中でも“愛の芽生え”と呼ばれる部分に属するものですが、情熱渦巻くダンスの最中にも、すでに孤独、はかなさ、死・・・が暗示されているわけです。

 このようにムンクの作品には、無垢、情熱、死のような3つの相が1枚の絵の中に描かれることが多く、彼自身の神経症からくる危うい均衡が、三人の女性の間に張りつめたドラマを与えているようです。

★★★★★★★
オスロ、 国立美術館蔵



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