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「プリマ・バレリーナ」

エドガー・ドガ(1878年)

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 ライトを浴びながら観客にあいさつするプリマ・バレリーナです。
 ついさきほどまでの自らの演技の余韻に酔いながら、頬を紅潮させて前脚を曲げたあいさつのポーズをとっている彼女の、なんて美しいことでしょうか。衣装や髪飾りに配された花も黒のチョーカーも、歌うように幸せそうに可愛らしく踊っています。

 下からの脚光の、いかにも舞台姿らしい浮かび上がるような効果、カーテンにかくれた演出家や他の踊り子たちがじっと見守っている緊張感が、桟敷席から斜めに見下ろした視線で描かれています。これこそドカ・・・きわめつき!・・・という感じの作品です。夢見るように顎を上げたバレリーナの白い前脚の筋肉の付き方まで、本当によく描き込まれていて、思わず感動してしまうのです。
 また、画面をスパッと大胆に切って、主役の彼女をあえて中央に置かないおシャレさもステキで、絶えず試み、描き続けるドガの情熱に圧倒される思いです。

 ドガの画家としての生涯は、2つの大きな力に引かれたものだったようです。1つは印象派の画家たちが実践しているような芸術の近代化、もう1つは巨匠たちが成し遂げた偉大な業績を守りつづけたいという願いです。
 ヨーロッパ芸術の伝統の中で、デッサン、構成、豊かな色彩を鍛錬し続けた真摯さとエネルギーが、芸術家としてのドガを輝かせ続けたのだと実感せずにはいられません。

★★★★★★★
パリ、 オルセー美術館蔵



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