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「麦わらの帽子」

ペーテル・パウル・リューベンス (1625年)

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 大きな瞳の美しい婦人….この人は、リューベンスの後年の妻エレーヌ・フールマンの姉シュザンヌだと言われています。この作品はリューベンスの作品の中でももっとも美しい婦人像の一つですが、黒真珠のようなつやつやした美しい瞳と輝くばかりの白い肌が、黒い帽子と青い空にふちどられて、いっそう際立っているようです。

 リューベンスは生涯に二人の妻を持ちました。はじめはイサベラ・ブラント、その没後にはエレーヌ・フールマンという美しく優しい女性です。
 チャールズ一世からナイトの叙爵を受けた年、エレーヌ・フールマンと結婚したのがリューベンス53歳のときで、エレーヌはリューベンスの長男アルベルトと同い年でした。黄金の髪とバラ色に輝く肌をもったこの少女は、まさしく画家の女神でした。彼女は最初の妻イサベラを喪ったリューベンスの悲しみを癒し、その晩年を実に幸福なものとしてくれました。また彼女は、画家の豊かな制作の霊感の源泉ともなったのです。晩年の「パリスの審判」などは、女性の優美さの全てを表現した理想の女性像の典型であると言われていますが、そこに描かれた三人の女神は愛妻エレーヌ・フールマンに似ていると言われています。しかし考えてみると、心やさしく奥床しいエレーヌのほうがリューベンスの理想像に近づこうと努力していた…と言ったほうが、もしかすると当たっているのかも知れません。

 リューベンスという人は画家としてのたぐいまれな才能のみならず、容姿にも才気にも恵まれ、温厚な人柄、外向的な性格と上品さで人々に愛されました。そうした彼の資質が、彼を偉大な画家であるだけにとどまらせず、政治に関与させ、外交官として多彩な活躍をさせるのですが、そうした暖かさと明るさを兼ね備えた人柄を持つリューベンスと、穏やかなエレーヌが年齢差を越えて幸福に暮らす様子をおもうと、なんだか微笑ましい気持ちになってしまいます。
 そのエレーヌに面差しがよく似ているであろう姉シュザンヌの被っている帽子は、表題とは違ってフェルトでできています。これは、麦わら(パイユ)とフェルト(ポワル)の読み違いがそのまま後世に残ってしまったのではないかと言われています。

★★★★★★★
ロンドン ナショナルギャラリー蔵



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