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「岩窟の聖母」

レオナルド・ダ・ヴィンチ(1503-06年)

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ここをクリックすると、作品のある
「WebMuseum, Paris」のページにリンクします。

 ダ・ヴィンチの絵には、どれも現実とはかけ離れた神秘的な雰囲気が漂っていますが、この作品は特に謎めいています。
 岩に囲まれた洞窟は、生命の誕生をつかさどる母の胎内を暗示していると思われ、神の力が働くサンクチュアリとして描かれていると言われています。
 おさな児イエスと聖ヨハネを、マリアが大きく手を広げて護り、祝福しています。二人は幼いながらもすでに自らの役割を自覚しているらしく、賢い表情でポーズをとっているのです。
 しかし、この絵の中でとりわけ目をひくのが、その三人をうっとりと眺めている天使の姿です。清純で、少し冷たい感じのする彼女の、ちょっと斜めに傾いた顔はこの上なく美しく、神秘的です。巨匠と言われる人の描く女性たちを、どれもこれも「美しい」の一言で表現してしまうのは情けない限りなのですが、やはりどうも、その表現しか見つかりません。光を受けた天使の額が、知性的に輝いています。

 この作品は、ロンドンのナショナル・ギャラリーとパリの ルーヴル美術館の2箇所で見ることができます。完成作品の少ないダ・ヴィンチが、なぜ同じ絵を描いたのかは謎です。いつも新しい興味に向かって走ってしまう彼にしては、異例中の異例と言っていいでしょう。レオナルドはきっと我が道を往く人だったでしょうから、気のすすまない仕事を二回やるとは思えません。単純に考えれば、彼にとって、非常に興味をひかれるテーマだったということでしょうか。

P.S.
 この作品が2枚あることの理由について、1996年12月1日に大場 紀裕さんよりメールをいただきました。

 「オリジナルの『岩窟の聖母』を 教会が評価した価格が安すぎて、作品の価値を見下していると考えたレオナルドは売り渡しを拒否した。そして、苦心したオリジナルは絶対に安売りはできないので、コピー絵としてもう一枚描き、それを安値で売った。そのために2枚存在する。また、オリジナルはルーヴル美術館に収蔵されているほうであると思われる。」
「図説 レオナルド・ダ・ヴィンチ 万能の天才を訪ねて」 河出書房新社(ISBN4-309-72559-7)より
 ・・・との情報をいただきました。
 どうもありがとうございましたm(__)m

★★★★★★★
ロンドン、 ナショナルギャラリー蔵



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