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「朝の目覚め」

エヴァ・ゴンザレス (1876年)

ジャンプ

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 半分はまだ、まどろみの中にいるのでしょうか。柔らかく爽やかな朝の光の中で、モデルの少女は本当に安らかな、幸せそうな表情を見せています。輝くばかりのカーテンや夜具の白さが枕元のスミレの色を映して、少女の清潔な美しさがいっそう際立つようです。

 モデルの表情が安らぎに満ちているのは、彼女を見つめる画家が姉であるからに違いないという気がします。エヴァ・ゴンザレス(1849-1883年)は、妹のジャンヌをしばしばモデルにして描いています。社会的制約から、女流画家が気軽に戸外での制作ができなかった時代背景もあり、エヴァのように身内や静物を描くケースは多かったのです。ジャンヌはとても控え目な性格で、姉に従順だったといいます。そんな美しい妹は、エヴァにとって、最高のモデルだったことでしょう。

 エヴァ・ゴンザレスは、スペイン系上流階級出身の美貌の画家でした。そして、マネが受け入れた唯一の弟子でもあったのです。
 彼女は、1869年、高名な作家であった父の紹介でマネと出会いました。マネは、20歳のエヴァ・ゴンザレスの謎めいた美しさにすっかり心を奪われ、即座にモデルになってほしいと頼んだといいます。そして、またエヴァも、当時上流階級に人気のあったシャプランに師事していましたが、直ちにそこを去り、マネのアトリエに弟子として入りました。マネは、エヴァをモデルに、魅力的な肖像画を残しています。
 彼女は後にマネの友人と結婚して息子を一人もうけますが、マネの死後、まるで師の後を追うように、塞栓症のため、34歳の若さで亡くなってしまいます。残された作品は決して多くありませんが、華麗でセンスのよい静物画や人物画を描いています。そしてそこには、マネの確かな影響が感じられるのです。

 同じように、マネの影響を受けたベルト・モリゾが姉のエドマをよく描いたように、ゴンザレスは妹ジャンヌをお気に入りのモデルとして描きました。可憐で、忘れがたい美しさに満ちたこの作品には、すみずみにまでエヴァ・ゴンザレスの素早く確かな筆の跡が感じられます。ジャンヌのつややかな二の腕を、朝露の精が遠慮がちに通り過ぎた瞬間かもしれません。

★★★★★★★
ドイツ、 ブレーメン美術館 蔵

 <このコメントを書くにあたって参考にさせていただいた書籍>
  ◎西洋美術館
       小学館 (1999-12-10出版)
  ◎印象派美術館
       島田紀夫監修  小学館 (2004-12出版)
  ◎西洋美術史
       高階秀爾監修  美術出版社 (2002-12-10出版)
  ◎印象派の歴史
       ジョン・リウォルド著、三浦篤・坂上桂子訳  角川学芸出版 (2004-11-03出版)



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