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「五色ひわ」

カレル・ファブリティウス (1654年)

ジャンプ

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 あ、可愛らしい小鳥--。
 そう思って手を伸ばすと、そこにあるのは板絵…。この作品は、一羽の鳥をトロンプ・ルイユ(だまし絵)で描いた、17世紀デルフトの画家カレル・ファブリティウスの作品なのです。

 ファブリティウスは1641-43年にかけてレンブラントの工房で働き、レンブラントの作風をデルフトにもたらしたことでも有名です。つまり彼は、レンブラントとデルフト派をつないだのです。そして、ファブリティウスの持つ淡い寒色系の色調、静謐な雰囲気、光の処理は、17世紀オランダの代表的な画家フェルメールにも大きな影響を与えたと言われています。

 西洋において、もっとも好まれた絵画のテーマはキリスト教と古代神話に基づくものでしたが、17世紀初頭に独立を果たした新興国オランダにおいて、その事情は一変します。ごくありふれた日常の光景や、花瓶に生けられた花、水車のある風景など、親しみやすい現実が描かれるようになったのです。そして、風景、建物、静物、日常生活…と、それぞれの画家による専門化が進み、風景画のヤコブ・ファン・ロイスダールや風俗画のヤン・ステーン、花の画家ヤン・デ・ヘームなどが生まれたのです。
 しかし、そんな中でファブリティウスは多才な画家でした。宗教画、肖像画、建築画、風俗画、静物画をこなし、この『五色ひわ』のような出色の動物画も描いたのです。おそらく、多くの作品を制作したと思われますが、そのほとんどが、1654年に起こったデルフトの火薬工場の爆発によって焼失してしまいました。そして、この爆発は、大切な画家自身の命も失わせてしまったのです。

 暖かい日溜まりのなかで自由に歌う五色ひわ…。この作品が、32歳の画家最晩年の作品だったことを思い合わせるとき、画面に漂う平和とやさしさが、見る者の魂までもそっと温かく包んでくれるような、不思議な安らぎを感じてしまうのです。

★★★★★★★
ハーグ、 マウリッツハイス美術館 蔵



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