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「サルタンバンクの一家」

パブロ・ピカソ (1905年)

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 空と大地に抱かれながら、いつもどおりに旅を続ける芸人たち。ピカソが愛したサーカスの仲間たち….その生活感ある、ちょっと胸が締め付けられるような彼らの姿が、ピカソの的確な目でとらえられています。

 「ばら色の時代」を迎えたピカソはこのころ、足繁くサーカスに通っています。ピカソが愛してやまなかったサーカスの人々….その家族の、隠しようもない生活感が心にしみて、この人々は、まさに彼の「ばら色の時代」を共に生きていたのだ….と実感させてくれます。
 菱形模様の衣裳のアルルカンはピカソの作品には本当によく登場しますし、不思議な形の帽子の道化や軽業師らしい少年、花籠を持った踊り子の少女、そして少し離れて帽子をかぶって座る婦人…と、みな、さまざまな想いをこめて視線を合わせず、思い思いの方向を見やって心を泳がせているように見えます。

 この年からピカソの伴侶となったのは、フェルナンド・オリヴィエという彼と同い年の女性でした。二人は「洗濯船」と呼ばれる奇妙な芸術家のたまり場で生活を始めますが、ここのアトリエでピカソはフェルナンドの姿を何千枚と描いています。後に画家との最初の出会いを思い返し、フェルナンドはこう言っています。
「ピカソ、背が低く、色黒で、がっしりした身体つき、落ち着かず、人を落ち着かせず、その瞳は暗く、深く、謎に満ちており、ほとんど動かない」。

 このサーカスの一家は、本当はいったい誰なのでしょう。おそらくは、生涯さまよい、旅を続ける彼らは当時のピカソにとって、同じ大地と空に抱かれた、お気に入りの、大切な大切な友人たちだったのです。

★★★★★★★
ワシントン ナショナルギャラリー蔵



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